XIV. ClibPDF 関数

導入

ClibPDF により、PDF ドキュメントを PHP により作成可能となります。 ClibPDF の機能と API は、PDFlib に 似ています。この文書とともに、よりライブラリの詳細を説明している ClibPDF のマニュアルも読んでください。

元の ClibPDF および PHP モジュールの多くの関数名は、 PDFlib と同様に同じです。 cpdf_open() 以外の全ての関数は、最初の パラメータとしてドキュメントのハンドルをとります。

現在、このハンドルは内部で使用されていません。これは、 ClibPDF が複数の PDF ドキュメントを同時に作成する機能をサポートして いないためです。実際、これを試みても、結果は期待できません。 マルチスレッド環境での結果を予測することはできません。ClibPDF の 作者によれば、これは将来のリリースで変更されます (これを書いている時点での最新版は 1.10 です)。 もしこの機能が必要なら、pdflib モジュールを使用してください。

ClipPDF (および PDFlib) が優れているのは、 テンポラリファイルを使用せずに pdf ドキュメントを 完全にメモリ上で作成することが可能であることです。 あらかじめ定義された単位長さの座標を渡す機能も有しています (この機能は、PDFlib 関数の pdf_translate() で模擬することも可能です)。

その他の ClibPDF の機能で優れているのは、新規のページのオープン後で あっても任意のページをいつでも修正可能であるという点です。関数 cpdf_set_current_page() により、カレントの ページを離れて、他のページを修正できるようになります。

多くの機能の使用法は非常に容易です。最も困難なのは、おそらく新規に PDF ドキュメントを作成する場合でしょう。次の例が導入の手助けと なるはずです。この例では、ページを 1 つ有するドキュメントを 作成します。このページは、30pt のアウトラインフォントでテキスト "Times-Roman" により書かれます。テキストには下線が引かれます。

注意: この拡張モジュールは PECL レポジトリに移動 されており、以下のバージョン以降 PHP にバンドルされなくなっています。 PHP 5.1.0.

注意: 外部の PDF ライブラリを使用しない別のフリーな PDF 作成ツールに ついては、関連する FAQ を参照ください。

要件

ClibPDF 関数を使用するには、ClibPDF パッケージをインストールする 必要があります。ClibPDF は、 FastIO からダウンロード可能ですが、商用で使用する場合には ライセンスを購入する必要があります。 PHP では、cpdflib >= 2 を使用する必要があります。 ClibPDF ライブラリの開発は終了しており、FastIO のウェブサイトもそのうちにアクセスできなくなることでしょう。

インストール手順

この関数が動作するには、 --with-cpdflib[=DIR] を指定して PHP をコンパイルする必要があります。DIR は cpdflib をインストールする ディレクトリで、/usr がデフォルトです。 ClibPDF が使用する jpeg ライブラリと tiff ライブラリの場所を指定することも できます。これを行うには、configure にオプション --with-jpeg-dir[=DIR] および --with-tiff-dir[=DIR] を 指定してください。

実行時設定

設定ディレクティブは定義されていません。

定義済み定数

以下の定数が定義されています。 この関数の拡張モジュールが PHP 組み込みでコンパイルされているか、 実行時に動的にロードされている場合のみ使用可能です。

CPDF_PM_NONE (integer)

CPDF_PM_OUTLINES (integer)

CPDF_PM_THUMBS (integer)

CPDF_PM_FULLSCREEN (integer)

CPDF_PL_SINGLE (integer)

CPDF_PL_1COLUMN (integer)

CPDF_PL_2LCOLUMN (integer)

CPDF_PL_2RCOLUMN (integer)

例 1. 簡単な ClibPDF の例

<?php
$cpdf
= cpdf_open(0);
cpdf_page_init($cpdf, 1, 0, 595, 842, 1.0);
cpdf_add_outline($cpdf, 0, 0, 0, 1, "Page 1");
cpdf_begin_text($cpdf);
cpdf_set_font($cpdf, "Times-Roman", 30, "WinAnsiEncoding");
cpdf_set_text_rendering($cpdf, 1);
cpdf_text($cpdf, "Times Roman outlined", 50, 50);
cpdf_end_text($cpdf);
cpdf_moveto($cpdf, 50, 50);
cpdf_lineto($cpdf, 740, 330);
cpdf_stroke($cpdf);
cpdf_finalize_page($cpdf, 1);
cpdf_finalize($cpdf);
Header("Content-type: application/pdf");
cpdf_output_buffer($cpdf);
cpdf_close($cpdf);
?>

pdflib の配布ファイルには、アナログクロックを有する複数ページを 作成するような複雑な例が含まれています。以下に ClipPDF 拡張を使用して この例を PHP に変換したものを示します。

例 2. pdflib 2.0 配布ファイルからの pdfclock の例

<?php
$radius
= 200;
$margin = 20;
$pagecount = 40;

$pdf = cpdf_open(0);
cpdf_set_creator($pdf, "pdf_clock.php");
cpdf_set_title($pdf, "Analog Clock");
  
while (
$pagecount-- > 0) {
  
cpdf_page_init($pdf, $pagecount+1, 0, 2 * ($radius + $margin), 2 * ($radius + $margin), 1.0);
  
  
cpdf_set_page_animation($pdf, 4, 0.5, 0, 0, 0);  /* wipe */
  
  
cpdf_translate($pdf, $radius + $margin, $radius + $margin);
  
cpdf_save($pdf);
  
cpdf_setrgbcolor($pdf, 0.0, 0.0, 1.0);
  
  
/* minute strokes */
  
cpdf_setlinewidth($pdf, 2.0);
  for (
$alpha = 0; $alpha < 360; $alpha += 6) {
    
cpdf_rotate($pdf, 6.0);
    
cpdf_moveto($pdf, $radius, 0.0);
    
cpdf_lineto($pdf, $radius-$margin/3, 0.0);
    
cpdf_stroke($pdf);
  }
  
  
cpdf_restore($pdf);
  
cpdf_save($pdf);

  
/* 5 minute strokes */
  
cpdf_setlinewidth($pdf, 3.0);
  for (
$alpha = 0; $alpha < 360; $alpha += 30) {
    
cpdf_rotate($pdf, 30.0);
    
cpdf_moveto($pdf, $radius, 0.0);
    
cpdf_lineto($pdf, $radius-$margin, 0.0);
    
cpdf_stroke($pdf);
  }

  
$ltime = getdate();

  
/* draw hour hand */
  
cpdf_save($pdf);
  
cpdf_rotate($pdf, -(($ltime['minutes']/60.0) + $ltime['hours'] - 3.0) * 30.0);
  
cpdf_moveto($pdf, -$radius/10, -$radius/20);
  
cpdf_lineto($pdf, $radius/2, 0.0);
  
cpdf_lineto($pdf, -$radius/10, $radius/20);
  
cpdf_closepath($pdf);
  
cpdf_fill($pdf);
  
cpdf_restore($pdf);

  
/* draw minute hand */
  
cpdf_save($pdf);
  
cpdf_rotate($pdf, -(($ltime['seconds']/60.0) + $ltime['minutes'] - 15.0) * 6.0);
  
cpdf_moveto($pdf, -$radius/10, -$radius/20);
  
cpdf_lineto($pdf, $radius * 0.8, 0.0);
  
cpdf_lineto($pdf, -$radius/10, $radius/20);
  
cpdf_closepath($pdf);
  
cpdf_fill($pdf);
  
cpdf_restore($pdf);

  
/* draw second hand */
  
cpdf_setrgbcolor($pdf, 1.0, 0.0, 0.0);
  
cpdf_setlinewidth($pdf, 2);
  
cpdf_save($pdf);
  
cpdf_rotate($pdf, -(($ltime['seconds'] - 15.0) * 6.0));
  
cpdf_moveto($pdf, -$radius/5, 0.0);
  
cpdf_lineto($pdf, $radius, 0.0);
  
cpdf_stroke($pdf);
  
cpdf_restore($pdf);

  
/* draw little circle at center */
  
cpdf_circle($pdf, 0, 0, $radius/30);
  
cpdf_fill($pdf);

  
cpdf_restore($pdf);

  
cpdf_finalize_page($pdf, $pagecount+1);
}

cpdf_finalize($pdf);
Header("Content-type: application/pdf");
cpdf_output_buffer($pdf);
cpdf_close($pdf);
?>

参考

PDFlib 拡張モジュールの ドキュメントも参照ください。

目次
cpdf_add_annotation -- 注記を追加する
cpdf_add_outline -- 現在のページにブックマークを追加する
cpdf_arc -- 円弧を描く
cpdf_begin_text -- テキストセクションを開始する
cpdf_circle -- 円を描く
cpdf_clip -- 現在のパスを切り取る
cpdf_close -- pdf ドキュメントを閉じる
cpdf_closepath_fill_stroke -- パスを閉じ、塗りつぶし、描く
cpdf_closepath_stroke -- パスを閉じ、線をパスに沿って描く
cpdf_closepath -- パスを閉じる
cpdf_continue_text -- 次の行にテキストを出力する
cpdf_curveto -- 曲線を描く
cpdf_end_text -- テキストセクションを終了する
cpdf_fill_stroke -- 現在のパスを塗りつぶし、描く
cpdf_fill -- 現在のパスを塗りつぶす
cpdf_finalize_page -- ページを終了する
cpdf_finalize -- ドキュメントを終了する
cpdf_global_set_document_limits -- PDF ドキュメントの制限を設定する
cpdf_import_jpeg -- JPEG 画像をオープンする
cpdf_lineto -- 線を描く
cpdf_moveto -- 現在位置を設定する
cpdf_newpath -- 新規パスを開始する
cpdf_open -- 新規 pdf ドキュメントをオープンする
cpdf_output_buffer -- pdf ドキュメントをメモリバッファに出力する
cpdf_page_init -- 新規ページを開始する
cpdf_place_inline_image -- 画像をページに置く
cpdf_rect -- 矩形を描く
cpdf_restore -- 以前に保存した環境を回復させる
cpdf_rlineto -- 線を描く
cpdf_rmoveto -- 現在位置を設定する
cpdf_rotate_text -- テキスト回転角を設定する
cpdf_rotate -- 回転を設定する
cpdf_save_to_file -- pdf ドキュメントをファイルに書きこむ
cpdf_save -- 現在の環境を保存する
cpdf_scale -- 倍率を設定する
cpdf_set_action_url -- ハイパーリンクを設定する
cpdf_set_char_spacing -- 文字間隔を設定する
cpdf_set_creator -- pdf ドキュメントの creator フィールドを設定する
cpdf_set_current_page -- 現在のページを設定する
cpdf_set_font_directories -- 外部フォントを使用した際、検索するディレクトリを設定する
cpdf_set_font_map_file -- 外部フォントを使用している場合、フォント名をファイル名変換マップに設定する
cpdf_set_font -- フォントの種類とサイズを選択する
cpdf_set_horiz_scaling -- テキストの水平方向の倍率を設定する
cpdf_set_keywords -- pdf ドキュメントの keywords フィールドを設定する
cpdf_set_leading -- テキスト行の間隔を設定する
cpdf_set_page_animation -- ページ間の移行時間を設定する
cpdf_set_subject -- pdf ドキュメントの subject フィールドを設定する
cpdf_set_text_matrix -- テキスト行列を設定する
cpdf_set_text_pos -- テキスト位置を設定する
cpdf_set_text_rendering -- テキストのレンダリング法を定義する
cpdf_set_text_rise -- テキストの高さを設定する
cpdf_set_title -- pdf ドキュメントの title フィールドを設定する
cpdf_set_viewer_preferences -- ドキュメントのビューワ上での表示方法を設定する
cpdf_set_word_spacing -- 単語間の間隔を設定する
cpdf_setdash -- 破線のパターンを設定する
cpdf_setflat -- flatness を設定する
cpdf_setgray_fill -- 塗りつぶし色をグレー値に設定する
cpdf_setgray_stroke -- 描画色をグレー値に設定する
cpdf_setgray -- 描画、塗りつぶし色をグレー値に設定する
cpdf_setlinecap -- linecap パラメータを設定する
cpdf_setlinejoin -- linejoin パラメータを設定する
cpdf_setlinewidth -- 線幅を設定する
cpdf_setmiterlimit -- miter のリミットを設定する
cpdf_setrgbcolor_fill -- 塗りつぶし色を RGB カラー値に設定する
cpdf_setrgbcolor_stroke -- 描画色を RGB カラー値に設定する
cpdf_setrgbcolor -- 描画色および塗りつぶし色を RGB 値に設定する
cpdf_show_xy -- 指定位置にテキストを出力する
cpdf_show -- 現在位置にテキストを出力する
cpdf_stringwidth -- 現在のフォントのテキストの幅を返す
cpdf_stroke -- パスに沿って線を描く
cpdf_text -- パラメータを元にテキストを出力する
cpdf_translate -- 座標系の原点を設定する